桐谷慎…。



一人でキュンキュンしながら受話器を握りしめていると




「高宮さん?」


「うわっ!!」





田中さんが私の顔を不思議そうに覗きこむ。







「桐谷部長に…、早坂様のこと伝えなくていいの?」






あっ、そうだ!!!!!!

大事なことを忘れてた!!!








ハッとした私は受話器を持ち変えると



「あ、あのっ。桐谷部長!!」



必死で用件を伝えようとするのに、



『はいは~い。何?高宮くん。』



電話の向こうの桐谷慎は悪魔で呑気。








も~っ!!本題に入らせてよ!!!!






イライラしながら


「SGスイミングスクールの早坂様がミーティングルームでお待ちです。」


と伝えると、一瞬間をあけて





『…すぐ行く。』






電話の向こうからは真面目な声が聞こえてきた。