あたしは聖人君子じゃない。 伊織みたいに真面目に恋愛するタイプでもない。 だから…仕方ないでしょ? ずっとこれから先、何年も恋心だけで過ごしていくなんて…きっとあたしには無理だと思うから。 「…適当に遊びながら待ってるわ。 センパイが振り向いてくれるのを…、センパイの一番近くの特等席でずっと待ってる。」 そう言って、フンワリ笑うと。 あたしはセンパイの唇に軽く触れるだけのキスをした。 そんなあたしを見て 「一ノ瀬は…バカだな…。」 と、優しく笑った。