「センパイ…、もしかして……」




あたしは恐々、センパイに訊ねる。







お願い。

どうか、真実は知らないでいて。




水島亜美と付き合っていながら、伊織に手をだした罪悪感だけでいて。










そんなあたしの淡い願いは。










「亜美のお腹の子は…、俺の子じゃねぇ。
…祐吾の子どもだ…。」












静かで悲しい、

彼の言葉に全てを吹き飛ばされた。







「亜美と祐吾をそこまで追い込んだのは、俺だ…!!
俺が伊織を忘れられないから。この気持ちがみんなを不幸にしちまう。

もう…逃げられるものなら逃げ出してぇ……。」







そう言って。

センパイは泣いていた。









伊織を好きだと

忘れられないと言って。







センパイは…泣いていた。