あたしはメイクがボロボロであろう自分の顔を隠すように俯いた。

「許してやってね。男って…なんてゆーかほら見栄っ張りなトコあるから。」

「はぃ。ってか今回はありがとうございました。」

「ありがとうはこっちの台詞。歩夢のコトも、俺のコトも信じて待ってくれてありがとう。」

歩夢が戻ってくると、礼苑さんは

「ふたりとも仲良くね。」

と言い残して去って行った。

「紗耶香?まだ怒ってる?」
「次何かあったらただじゃおかないから。」

「わかってる。」

「わかれば宜しい。」

あたしは今度こそ笑顔を向けた。

その夜は閉店まで、飲んで騒いだ。

オーナーの言葉が胸に残る。

歩夢が信じられる1%の人間だったらイイのに。

ううん。

まずは信じてみよう。

3割の恋は始まったばかりなんだから。