「へーぇ、それで間一髪かぁ。やっぱりチーフだよなぁ」



ビジネスクラスの通路。


二人はCAに座席番号を伝え、スムーズに案内してもらった。



「そっ。おまけに帰国早々、雄一朗にあわせて休暇なんかくれちゃって。ちょっぴりいいとこあるかなぁって」



瑠美は思い出し笑いをしながら窓際の席をキープした。



雄一朗は頭上にバッグをしまい込むと、腰に手をあて瑠美を覗き込むように言った。



「ふんふん、やっとお前もチーフの良さがわかってきたな」




雄一朗がげんこつで軽く瑠美のおでこをノックした。