船内のバンドが、グレン・ミラーを演奏し始めた。



―――――古き良き時代―――――



そんな言葉がびったりな雰囲気だった。



突然公作が立ち上がると、照れくさそうにはる子に手を差し伸べた。



「いいんですか?私はこんなにおばあちゃんですよ」



「ワシだって、こんなにじいさんだ。ワシは若い頃のお前も大好きだったが、年を重ねていくお前はもっと好きだった。そしてこれからもずっとお前を愛していくんだぞ」



二人はホールの中央に歩みでた。



ムーンライトセレナーデが二人の身体を引き寄せた。



白人の若い連中が、それを、見てピーピーとはやしたてた。