「叶多くん、毎年ありがとね」 お母さんが叶多にぃにお礼を言う。 「いえいえ……俺のせいだから…」 叶多にぃがボソッと呟いた。 私はその言葉が嫌いだった。 叶多にぃは、ずっと悔やんでる。 叶多にぃのせいなんかじゃない。 誰のせいでもない。 でも…優しい彼はまだあの人のことを思い続けてる。 私は、そんな叶多にぃがきらいだった。 ──もう忘れちゃえばいいのに…