私と斗基が作業を終えると、係員の人が私に話し掛けてきた。 「失礼します。あの、この骨、良ければ…」 そう言って私に細い骨の入った小さいビンを渡す。 「これは…?」 「左手の薬指の骨です」 ……左手の、薬指…。 私は黙って受け取り、その骨を眺めた。 そして、大事に握ると私は一礼して斗基の所へ戻った。 「なんだ、それ?」 「なんかくれるって…。大事にしないと」 斗基はじっと、私の手に包まれているビンを見つめた。