「…かしこまりました」

斗基はそう言うと仕方なさそうに部屋を出た。

…はぁ、どうにかならないのかな。全く。


私は斗基によって開かれた車に乗り込む。

私は、なんとなく分かる。

斗基が私に元気をつけさせてくれようとしてる事が…。

私も斗基も、黒崎さんの病名を知っているから…。


【労核】


黒崎さんの病名は『肺結核』だった。

でも、それを本人には言えない。
言ってはいけない…。


死亡率が非常に高い病気だからだ。