黒崎さんが入院して一週間が経った。

相変わらず二重人格の樋浦。

「ねぇ、樋浦…っ」

「おっと、そろそろ下の名前で呼んでもらえないかな?『斗基』って」

また私の顎をクイッと上げる。

まるで、呼ばなければキスするぞとでも言うかのように。

「…じゃあ斗基。いい加減私を自分の部屋に監禁するのやめてもらえない?」

「どうして?いつでもお嬢様の傍にいるのが執事の務めなのに」

「……病院に行くから、車を出してちょうだい」