「本当に?」

『うん。
裕くんが、他の誰かを好きでも、あたしは裕くんが好き。だから付き合って下さい。』

「オレ、正直まだ楓の事忘れられない。」

…知ってるよ。
裕くんの目は、
いつでも楓を追ってる。
いつも見てたから、
知ってるよ。

『それでも、あたしの事を好きになる可能性はある?』
少しの可能性でも、
あたしは賭けたかった。
0.0000000001%でも、
裕くんが好きになってくれるなら…。

「うん。」

『なら平気。あたし、頑張るから。』
裕くんに好きになって欲しいから。

「けど、好きになれないかもしれない。それでも、なちは大丈夫?」

『少しでも可能性があるなら、あたしは頑張りたい。』
裕くん、
これがあたしの気持ちです。
頑張るよ。
……本当に頑張る。
裕くん。大好き。

「わかった。でも、付き合う事は誰にも言わないで。」
あたしは舞い上がっていて裕くんの言った事を、あまりよく読まずに、

『うん!!二人の秘密!!』
なんて、返信をした。
あたしたちの関係は、

友達→恋人。

けど、この約束が、
このやりとりが、
この後、自分を苦しめるなんて、
幸せ絶頂だったあたしは
1ミリも思ってなかった。