「孫市、いい加減に観念したらどうだ」

「はは……あいにく諦めが悪くてね。まだまだ戦うさ」

その頃、幸村と対峙していた孫市は苦戦を強いられていた。

『幸村め……辺りを炎で覆うとはな。距離を取っての狙撃なんて不可能な上、幸村の間合いで勝てるはずがないな…どうしたものか』

孫市の手に握られたのは炸裂弾。

周りの覆う炎を爆風で消し飛ばしにかかる。

「まずはこの暑苦しい環境をどうにかさせてもらうぜ!?」

ボンッ!

あわよくば幸村に当たれと思い、放った弾丸はかわされ、幸村の背後に着弾。

炎は砂煙とともに消えた。

「やはり、ただの弾丸ではなかったか」

「幸村も吹き飛ばすつもりだったんだがな。かわされるとは思わなかったぜ」

しかし、孫市は納得がいかないことが一つあった。

幸村は分身でかわすわけではなく、身を翻してかわしたのだ。

以前とは違う避け方に、孫市は疑問を持つ。

『何か使えない理由があったのか?確かめる必要がありそうだ』

それは、自分の勝利のためでもあり、例え自分が負けても次に繋げるための考えであった。