「しかし、謙信がまた軍を立ち上げるとはな」

「ここは伊達の領地ですから。実際は伊達の軍がほとんどですよ」

「なるほどな。あいつの手腕に頭を任せたわけか」

謙信のもとへと行く三人。

院長は大分、落ち着いたようでちゃんと会話できるようになっていた。

「二人はどうしてここにいらしたんですか?」

「謙信にだいぶ前に呼ばれたんだ。実際は自分の仕事場が無くなったっていうのもあるんだけどな」

仕事場が無くなった。

俺はこの言葉が引っ掛かった。

「無くなったっと言うのは?」

「俺達は武田の軍で働いていたんだが、敵襲にあって壊滅しちまったんだ」

武田の軍が壊滅……

俺は少し気になる程度だったものが、一気に最悪な事態の想像へと膨らんで行くのを感じた。

「敵襲というのは、まさか宝玉を扱う人物はいましたか?」

「ああ、いたよ。とびきり強い奴がな」