相手方を名乗る目の前の男が出した条件に、謙信は素早く反論した。

「そんな条件飲めるか!」

「だったら、娘はあの世行きだな」

「貴様ぁ!!」

主君を愚弄され、怒った側近が男に切りかかった。

「止めろ!」

謙信の制止も遅く、側近は何やら苦しみだした。

よく見れば、側近の影が地面から離れ、側近の首を絞めている。

「やれやれ……」

謙信側からは見えないが、男の腰元が光っている。

間違いなく、宝玉の放っている光だ。

「さあ、どうする?この男の命なんてどうでもいいだろうが、娘はかわいいだろう?」

男の冷徹な態度を見る限り、本当に始末する可能性がある。

謙信は右手に力が入りすぎ、いつの間にか手がふるふると震えていた。

そして、謙信は決意した。

「さあ……どうする?今から無謀な戦いに命を捧ぐために宝玉をとるか?」

「……去れ…」

「なに?」

「去れ!!」

謙信は目をかっと見開き、男に言葉を叩きつけるようにはきつけた。

「今から疾風のごとく、貴様らを打ち砕き、全て取り戻す!!」