孫市は、幾人かの雑賀衆とともに最前線に立っていた。

辺りは相手方の騎馬隊の死体がゴロゴロ転がり、血の臭いに満ち始めている。

「第一陣はなんとか切り抜けられそうだな……」

孫市は籠城の始まりが順調に進み、胸を撫で下ろす。

「孫市様、前方より第二陣が見えます!!」

「あれは……大砲か?」

相手方の第二陣は大砲を台車に載せた兵達だった。

攻城に相手方も本腰を入れ始めたようだ。

大砲に玉を詰め込み、謙信達のいる城へと放とうとしている。

「奴等を制圧する。構えをとれ!!」

「はっ!」

周りの雑賀衆は片膝をつき、一斉に銃を構える。

「狙うのは兵だ!撃たれた玉は俺が打ち落とす!」

孫市も銃を構え、大砲の発車に身構える。

相手方の兵は銃を向けられ、大急ぎで大砲の口を城へと傾けた。

「撃て!」

雑賀衆の放った玉が、相手方の兵をバタバタと倒していく。

しかし、全てを制圧できなかった。

ボン!!

鈍い音が響き渡り、孫市の頭上に玉が来る。

「動体射撃に関しては、誰にも負けないぜ」

ガン!

孫市の放った弾丸は、玉に当たると同時に激しく爆発した。