「鳥たちが騒がしいな」

見張り台にて、孫市は周りの景色を眺めていた。

空を飛ぶ鳥たちの群れが、城から遠ざかっていく。

城で何かが起こることを予見しているようだ。

「城の内部は敵に知られ、兵力は削り落とされた。こっちは籠城するしかないし嫌な戦いになりそうだ」

先の織田軍との戦いとは違い、次は迎え撃つ立場だ。

城に火を放たれようものなら、手の内ようがない。

「今は、謙信様に城の補強を頼んでいるが、間に合うかどうか…」

考えれば考えるほど、独り言が増えていく。

「おい、孫市。ちょっといいか」

「政宗様」

政宗も見張り台に上がってきた。

「何かありましたか?」

「なーに。お前にこいつの扱いを聞こうと思ってな」

政宗の手には、孫市と同じ雑賀衆の使う銃が持たれていた。

「政宗様が銃を?」

「戦いに勝つためには獲物はなんでも使いたいからな」