「私、医療に携わりたくてここに来たんです。戦争があれば、怪我人も出ますからね」

俺は根津とともに、根津が働くはずの診療所についていっていた。

どうも根津は方向音痴らしく、道案内を頼まれたからだ。

「あれかな?」

根津とともに街中を歩いていると、白塗りの建物が見えてきた。

周りは木の色だけなので、そこはとても目立つ存在になっている。

「ずいぶん現代的な作りなんだね?」

「院長がナウい人でね」

それは死語というのではないだろうか。

とかは、気にせず俺は根津とともに院内に入る。

「院長、ただいま着きましたよ」

「おせえよ!!」

まず飛んできたのは、金属製の灰皿だった。

しかも、俺に飛んできたものだから、俺は思わず声をあげてしゃがんだ。

「あらあら。院長、お客様になんてことを…」

「知るか!!さっさと謙信にあいさつに行かないといけないんだよ!」