陽炎の笑顔を見て、俺も安心できた。

自分にできることとは言ってきたが、それがようやく見つかった気がした。

「君ももとの世界に戻った方がいいみたいだね」

「君も?」

「相手はすでに帰ったみたいだよ。見てごらんよ」

振り返ると、先ほどまで倒れていた秀吉はいなかった。

現代戦国時代へと戻っていったのだろう。

ここでは勝てたが、次も勝てるかはわからない。

「俺も戻ります」

「それがいいだろうね。もう戦いは始まる。運命を懸けた一戦になるだろうね」

「大丈夫です。なんとかしてみますから」

「頼もしいね。それじゃあさっそく行ってもらおうかな」

陽炎が俺の目の前に、手をやった。

前が見えない。

「全てを話すのは、別の人に託すよ。今は急いで戻った方がいいだろうし」

「あっ、そう言えば…」

そこで、俺の意識は遠退いていった。