拳の辺りに風が集まるのが自分でも感じ取れた。

やはり風を操る能力があがっている。

これならクナイから飛ばすだけではなく、体術に応用できる。

「げっ……」

「くたばりやがれ!!」

秀吉が逃げようとした瞬間を逃さなかった。

バキッ!!

背中を見せたところを拳で撃ち抜いた。

崩れ落ちるように秀吉は後ろに倒れた。

近づいてみると秀吉は仰向けに倒れ、口から泡を吹いている。

「やったみたいだね?」

「陽炎さん……」

陽炎は部屋を出て、俺の背後に立っていた。

その顔には、安堵の色が浮かんでいる。

「気づけたみたいだね?新しい力の使い方に」

「はい。なんでか知らないんですけど…」

「ははは。気づかないうちに強くなっていたんだよ。君は自分を認めてあげる必要があったんだ」