ゴウッ!!

いきなり辺りが火に包まれた。

火の色は赤ではない。

「おいおい。このままじゃ火の海になるぞ」

孫市は素早く銃を構え、一発放った。

弾は慶次の馬をつなぐ紐を断ち切り、馬はさっさと火のない方に逃げていく。

「私はつないだ馬を助けに行く。佐助くんは辺りの木を切って、火が回るのを押さえてくれ」

孫市は休む間もなく、急いで来た道を引き返していった。

俺は宝玉をはめたクナイを構え、風の刃で木を斬り倒していく。

このままでは俺も孫市も焼け死んでしまう。

もしかしたら、慶次も…

俺は渾身の力を込めた一振りで大木を倒し続けた。

粗方の木を倒し終わると、辺りは煙がかなり立ち込めて、前も見えない。

いくら倒しても、くすぶる火まではどうしようもなかった。

「孫市はまだか?」

馬を助けに行った孫市はまだ戻っていない。

「先に行くか…」