俺と孫市は、慶次を追って織田軍の跡地にたどり着いていた。

「やけに暑いな。さっきまではそんなことは無かったのに……」

孫市の言う通り、あたりは異様な熱気に包まれている。

しかし、俺にはその理由がわかる。

「あいつがいる…」

「あいつ?まさか、幸村がいるのか?」

「馬は置いていきましょう」

俺は馬を降りて、先を急いだ。

孫市も後を追って来ている。

この空気の重たい感じからして、すでにあいつは来ている。

少し先に行くと、馬が一頭木に結び付けられていた。

慶次の乗ってきた馬に違いない。

「まだ先に行ったみたいだね」

孫市がそう言って、馬の首のあたりを優しく撫でてやっていた。

「はい。でも、この先では………」

間違いなく、慶次と幸村は鉢合わせた。

何が起こっているかはだいたい予想がつく。

気になるのは、その結果ばかりだ。