現代戦国時代3

「ははは。さすが謙信だ。部下思いだな」

院長は高らかに笑った。

「謙信、城の警護に根津を貸してやる。それなら、大丈夫だろう」

根津は少し驚いた表情をしたが、しぶしぶうなずいている。

「じゃあ、さっさと行こうか。時間は無いからね」

孫市が天守閣を出ると同時に、俺も天守閣を出た。

不安は的中した。

慶次は幸村に会いに行ったんだ。

「君と共闘するのも初めてか。まあ、よろしく頼むよ」

孫市は階段の途中で振り返り、俺に軽く頭を下げた。

「あの……ありがとうございます。一緒に連れていってもらって」

「……君しかいないと思ったから。一回戦ったことがある君なら、少しは勝ち目があるかもしれない」

真面目な顔をして、孫市が言うので、俺も緊張してきた。

「まっ、気楽に行こう。慶次を連れ帰るだけだから」

孫市はにこりと笑う。

表情の裏に何かを隠して。