城門に行くと、俺はともかく周りの人に対する敵意にも似た目が向けられた。

「佐助殿。勝手な行動は困ります」

「けっ。たかが一勝したくらいで偉そうに…」

「院長……」

根津はあわてて院長の口を塞いだが、時すでに遅しだった。


門番は明らかにイライラした様子で槍を院長に向けた。

「やれやれ。どこからも好かれねえな、俺は」

院長はぶつくさ言いながら、後ろに下がった。

「怪我人なんです。近くで落ち着いて治療できるのはここだけで……」

「ふむ……しかし…」

「いれてあげなさい」

門番の後ろから現れたのは、上杉謙信だった。

一番驚いたのは、門番だった。

口を大きく開いたまま固まっている。

「久しぶりだな。謙信」

「ああ。さあ、お入りなさい。佐助もよく連れてきてくれたな」

とりあえず、なんとか事なきをえたようだ。