そう言われた瞬間に胸がズキンと痛んだ。 この子に父親はいない。 あんなの父親なんかじゃないんだから…! 「っ…この子に、父親はいません」 あたしは俯きながらそう伝えた。 「あっ、悪ぃ」 不良くんは申し訳なさそうな顔をして謝ってきた。 「あ、死んだとかじゃないんで、大丈夫です」 「…そっか。 じゃー…男だったら“颯天(ソウマ)”。 ちょっと俺の勝手なんだけど、俺の族の名前から取った。 もし女だったら、“愛姫(アキ)”。 みんなから愛される姫。 とかどうかな?」