すると、彼女がいきなりカバンを漁り始めた。 …? 「せ、先輩!! これ借りてた本です… 大切な本なのに、貸していただいてありがとうございました。」 頭を下げる中川さん。 フワリと、髪がなびく。 差し出された文庫本を受け取り、ニコッと笑った。 「あぁ、ありがとう。 読むの早かったね? どうだった?」 「ぁっ…すごくよかったです。 終わり方とか、とてもこの作家らしいと思いました。」 とても生き生きとした表情をして、感想を伝えてくれる彼女は 俺と同じくらい、本が好きなんだと思った。 .