その文庫本を貸してあげる というと、ポカンと固まった彼女。 読みたくないのか と聞くと、焦った表情になった。 ………ふふ。 可愛いな。 頭を撫でると、ボッと真っ赤になる彼女。 抱き締めてしまいたくなった。 でも…… 中川さんは、紳が好きで 紳も、少なくとも中川さんを気に入ってる。 そんな二人の邪魔を…していいのか…? 「読み終わってから返してくれればいいからね。 また図書室に手伝いに行くから、感想とか話せたらいいね。」 そう思った俺は、彼女に笑いかけてから 早々と去ったのだった。 .