お礼を言って、2つのペンキを抱えた中川さんは、想像していたより重かったのか少しだけよろけていた。 「せ、先輩もペンキをもらいにきたんですか?」 「うん。俺のクラスは白だけね。」 もう1つ白いペンキを取り出し、ドアに向かって歩く。 その斜め後ろ辺りを、ついてくる彼女。 「白ってたくさん使いますよね。失敗したときなんかにも…」 「そうそう。すぐ無くなるんだよね。」 なんだかいつもより、話してくれる気がするな… 心が温かくなって、満たされているような感覚がする。 .