年上王子様

腕を掴まれたからだ。
私は、元いた場所に引き戻される。
「ダメだよー。さっ、楽しいことしよ?」
チャラ男は気持ち悪い笑顔で言った。
な、何をする気だ…!
怪しすぎる!
「やっ、やだ…!」
チャラ男は顔を近づけてくる。
少しタバコ臭い…。
私は、咳きこみそうになったが、我慢した。
誰か、助けて…。
目から涙がこみ上げた時…。
掴まれていた腕が解放された。
代わりに、私の肩が温かい腕に包まれていた。
「この子、俺のツレだから。他当たってくれる?」
低く、どこか甘い声…。
私は、その声に酔いそうになった。
顔を見ようと見上げると、
私のはるか高くに、その人の顔はあった。
わ…カッコいい…。
背、高いなぁ…。