年上王子様

「おっ、漣じゃないか。」
来た店員さんは、ひげを生やした
ダンディーなおじさんだった。
「マスター、ご無沙汰してます。」
ん？知り合い？
私がわけがわからないという顔をしていると、速水さんがそれに気づいたらしく、
私にその方を紹介してくれた。
「ここのマスターの宮部さん。高校の時から通ってるんだ。」
そうなんだ！
そりゃあ、親しいわけだ。
私はあっさり納得した。
「えっと、立川ゆゆです。」
私はぺこりと頭を下げた。
「高校生かい？フレッシュだなー。」
「マスター…変な目で見んなよ。」
「おー、漣が怒るとコワーイ♪」
この人、おもしろいな。
「海鮮ぺペロンチーノと半熟カルボナーラよろしく。」
速水さんは手際よく注文した。
「はいよー。」
マスターはそう言ってから、
にこにこしてまだここにいる。
行かなくていいのかな？
「マスター、おもしろがってんだろ。早く、行った行った！」
速水さんは、犬を避けるような仕草で、
マスターを手をぺっぺっとはらった。
マスターは、泣きマネをしながら
厨房に入って行った。
やっぱおもしろいな…。