「怪我人か?」 僕の顔めがけて汚れた雫が落ちようとしている時に、横から凛として落ち着いた声が聴こえた。 僕は馬鹿から視線を外し顔を横に向ける。 こいつは確か…若桜町 光…。 女の子なのにそこらの男子達よりも断然かっこいいって、この間クラスの女子が騒いでた。 何回か廊下ですれ違った事があるから知ってる。 確かにかっこいい…。すらっとしてて切れ長の二重瞼、通った鼻筋。 僕もこんな風に生まれたかった…。 その時、左の頬っぺたに生温い感触。 ゆっくりと頬っぺたを撫でてみる。 …水?