されど、その先に幸福が待っていたのかは解らない。そもそも、狭い空間のなかで生きていかなければならなかった我々に、幸福を望むことは許されていたのか。

 望むものを手にできたベリルには、ジーンたちの想いはもう解らない。せめて、魂というものがあるのならば、安らかにと願うばかりだ。

 ──埋葬し終え、深い溜息を吐き出す。誰にも気付かれないようにと目印もなく、植物からやや距離を置いた。

 全ては終わったと喉を詰まらせ、目を閉じて頭(こうべ)を垂れる。頬を滑っていく風に瞼(まぶた)を上げて、眼前に広がる大地に目を細める。

 大地は、二つの命を糧に未来をつないでいく。ここにも、いつかワイルドフラワーが咲き乱れる季節が来る。

 その頃には、私は色とりどりの花を笑って眺める事が出来るだろうか──




 END
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