「──っはあ」

 怒りをぶつける先も、哀しみを吐き出す事も出来ないベリルは大きく息を吐き出した。

 血塗られた己の手を見つめ、血に染まった体を確認するように見回し、ベリルは薄笑いを浮かべる。

 逃れられない自分の運命に笑ったのか、泣く事の出来ない反動なのかは解らない。ベリルはジーンを腕に抱えたまま、睨み付けるようにしばらく空を仰いだ。


 ──落ち着くと、ピックアップトラックに乗せていたショベルを手に、二人の遺体を埋葬する準備に取りかかる。

 時間はかかるけれど、その時間が今は有り難い。

 あの襲撃から全てが崩れ、始まっている。襲撃さえなければ、他のクローンたちもフォージュリの手によって命を落とす事はなかったかもしれない。