「父さん。僕たちの死体を、誰にも触れさせちゃ、だめだよ」

 気管に入った血でむせながらも、

「まだ、早い」

 僕たちと父さんの事が知られるには、まだ早いから。

 言い終わると、ベリルの腕にズシリと重さが伝わった。見開かれたジーンのまぶたをゆっくりと降ろし、強く目を閉じる。

「これが──結果か」

 まるで、イミテーションですらも許さないとでも言うように、二つの命はことごとく失われた。

 それはさながら、プログラムされた細胞の死──アポトーシスの如き慈悲も無く、ただ淡々と行われるシステムのように──

 これは必然であったのか。そうであるならば、なんのためのプロセスなのか。二人の死は、私という存在を活かすためのものだと言いたげだ。

 一体、私は何人の命を奪えば気が済むのだろうか。