「勉強なんか、嫌いだ。どんなに勉強したって、父さんに会わせてくれないじゃないか。酷いよ、約束したのに」

 沢山、覚えたら。いつか、父さんに会わせてくれるって言ったのに──そんなとき、誰かが施設を襲ってくれたから、僕は外に出られた。

「これで、やっと、父さんに会えると思った、のに……。父さんは、どこにも、いなかった」

 寂しくて、悲しくて、必死に探した。

「僕、は──父さん、を、守るんだ」

 見下ろすベリルの頬に血に濡れた手を添える。

「父さん。僕が、守るから」

 ベリルは、消えゆく命を必死に留めようとジーンを強く抱きしめる。徐々に冷めていく体温が、死を確実なものにしていく。

「あは、やったね」

「ジーン」

「父さんに、ギュッて、してもらっちゃった」

「──っ」

 ふと、ジーンの瞳が表情を無くした。