「フォージュリ……」

 眉を寄せるベリルの耳にジーンの微かな呻き声が聞こえた。

「と──うさ、ん」

 ジーンはフォージュリがスイッチを押す直前にその手を振り解いたが間に合わず、爆発に巻き込まれた。

 しかれど、それだけのダメージではない事が胸から染み出る赤い液体で理解できる。

「ジーン」

 フォージュリはスイッチを押すと同時に、ハンドガンを抜いて逃げるジーンの背中から心臓に銃弾を放ったのだ。

 流れる血の量から、致命傷である事は間違いない。

「父さん、どこ?」

 ジーンは震える手でベリルを探した。

 もはや、助かる見込みはない。ベリルはジーンの手を取り、しっかりと握った。ベリルの手に安心したのか、ジーンは少年のように笑みを浮かべる。

「ジーン」

「僕は、父さんしかいらない。ただ、父さんと、一緒にいたかった、だけなんだ」

 あいつらは意地悪だ。