おそらく、フォージュリの感情の変化はジーンの存在によるものだろう。けれど、オリジナルを殺したいという意識を消し去るまでの強いものじゃない。
これは一時的なもので、ジーンがいなくなれば再び、ベリルの命を狙ってくる事は明白だ。
争うための理由だけが決定づけられている。やはり、彼らは己の意思だけではない何かに突き動かされているのではないのか。
ベリルにはそう思えてならなかった。
「隣にいるのは、俺なんだ」
「やっぱり、破綻してる」
「黙れ」
低く、くぐもった声色にベリルは何かの危険を感じた。
「ジーン! 下がれ!」
「誰にも渡さない」
ベリルの声は一歩遅く、フォージュリはつぶやいてジーンの手を強く掴んだ。
「──っ離せよ」
ジーンはどうにかしようともがくが、フォージュリの手はがっちりジーンを掴んで離さない。



