「──?」

 ベリルはふいに、何かの違和感を覚えた。

 ざらざらとした気持ちの悪い感覚──同時に、何かがすとんと心に収まるような印象。そんなイメージに目を眇める。

「懐かしい感じとか。しないか?」

「どういう意味だ」

 青年は口の端をつり上げて、よく顔を見ろと言いたげにベリルに近づいた。

「ああ、言い忘れていた。俺の名はフォージュリ。よろしく」

 ベリルはその名に眉を寄せる。

「もちろん、本名だ」

 そう、ベリルが違和感を覚えたのは──

「自分のクローンを見るのは初めてか?」

「クローンだと?」

 顔立ちがどこか自分に似ていたからだ。

「驚いたか?」

 フォージュリ──彼はそう名乗った。

「forgery(フォージュリ)」その意味は、「偽造物」

 本気でそんな名をつけたのだとしたら、親はどういった心境であったのかと思ってはいたけれど、男が言ったことが本当ならばある程度の納得は出来る。