「父さんは天才少年という名目で、呼び出された専門家から学んでいたけど、僕は秘密の秘密だったから、取り寄せた教材で研究員たちから学んでいたんだ」

 勉強については、どうでもよかった。覚えればみんな喜ぶし、怒られないから楽しいものだったよ。

 僕が一番楽しかったのは、やっぱり父さんを見ている時間だった。

「ブルーっていう兵士に、戦術を教わっていたよね」

 ベリルは、その名前に複雑な色を瞳に映す。

 ブルー・ウェルナス──彼は、ベリルの初めの師と言ってもいい存在だ。ブルーがいたからこそ、ベリルは襲撃の際、敵と遭遇しても冷静に闘う事が出来た。

「父さんの訓練風景に、僕は見とれてた」

 兵士が教えたことを、あっという間に自分のものにして、みるみると強くなっていく。

「僕は見たんだ」

 父さんが敵と対峙して、相手を見事に殺した瞬間を──その言葉に、ベリルは目を見開いてジーンと視線を合わせた。

「あのとき、僕は闘いに魅せられたんだ。もしかすると、あいつ(フォージュリ)も別の場所でそれを見ていたのかもしれないね」