「ジーン」

「何?」

「クローン計画に携わっていた者の人数は解るか」

 その問いかけにジーンは人差し指を口元にあて視線を上げて少し考えた。

「確か~。バグチームは教育係を含めて、二十人くらいかな? 僕の方は五人くらい」

「バグ?」

 ベリルはその言葉に目を眇める。

「みんなそう呼んでたよ」

 ジーンは悪びれる事もなく笑顔で応えた。

 bug(バグ)とは英語で虫の意だが、転じてコンピュータプログラムの製造(コーディング)上の誤り・欠陥を表す言葉である。

 失敗作をまとめるチームだからかとベリルは表情を険しくした。

 何が失敗で何が成功かなど、解るはずもない。果たして、私は本当に成功だといえるのか──

「それ以上、何を望むの?」

 放たれたジーンの言葉に喉を詰まらせる。