地下にクローン研究施設があった事には驚いたが、ジーンの話によると逃げ出す直前にガソリンの臭いがしたらしい。

 もしかすると、フォージュリが何かしらの処置を施したのかもしれない。もちろん、データを奪われないためではないだろう。

 ベリルへの強い執着だけではなく、科学者たちやその空間そのものを嫌悪し、憎んでいたのだとすれば、全てを消し去りたいと考えた行動だと思われる。

 結果的にはそれが功を奏した。データの流出を阻み、ベリルという存在を消し去る皮肉な結末となった訳だ。

 政府は人工生命体の成功に歓喜した。そして同時に、キメラの頭脳にも注目した。

 研究チームにとっても、思いも寄らなかった|おまけだったのだろう。それが、政府をさらに喜ばせる事となった。

 人工生命体である事を伏せ、天才少年と称して政府はできる限りの専門家を施設に招きキメラに一日八時間以上もの教育を受けさせた。