しばらく相手の返事を待っていると、微かだが笑い声が聞こえた。何を楽しんでいるのか。

<あんたに、会いたいんだけど>

「何故だね」

 未だ聞こえる笑い声に、何がそれほど楽しいのか解らない。

<裏庭にいるよ>

「なに?」

 男の言葉に立ち上がる。

 大量の武器を保有していることから、敷地にはセキュリティシステムが張り巡らせてある。

 当然、庭には数種類のセンサーが設置されており、それが反応しないなどあり得ない。

 そう考えながらもカーテンを開く──信じられないことだが、通話の声と同年代ほどの青年がそこにいた。どうやってセンサーを抜けたのか。

 青年は手を軽く上げ、ひらひらと振る。小馬鹿にしたような笑みは、手にしたスマートフォンからも響いていた。