どうであれ、フォージュリと話し合う落ち着いた場所が必要だ。人があまり立ち入らない。さらに多少、暴れても問題のない場所がいい。

 バリングラは世界一の一枚岩だが、世界二位の一枚岩であるウルルの方が有名となり観光客は少ない方だ。

 とはいえ、その付近にまったく人がいない訳ではないため、数キロほど遠ざかる。

 ベリルにとっては、これは無駄な殺し合いだ。

 争い合わなくて済むのならそうしたい。

「あいつを説得しようとしてるなら、無駄だよ」

 背後から放たれる冷たい言葉にゆっくりと振り返る。

「それが解っていて、どうして殺さないの?」

 ベリルは無言で目を伏せた。

「今まで何人も殺してきたんでしょ? なのに、どうしてあいつを生かそうとするの?」