「そんな所に行くなんて、父さんも物好きだね」

「聞きたい事がある」

「なに?」

「施設を離れてから、どうやって生きてきた」

「大したことはないよ。森を彷徨(うろつ)いたあとに傭兵に出くわして育ててもらっただけ」

 ──十二年前、ベリルが外で初めて出会った人間がカイルという傭兵だった。

 あのとき、近くでカイルの仲間がテロリストの殲滅に集まっていた。カイルもそれに呼び出され、ベリルも少なからずその戦闘に貢献した。

 よもや、ジーンも同じような境遇であったのかと思いつつ、そうであるならばフォージュリも同様なのかもしれない。

 数十人ほどいた傭兵たちの中に、二人とそれぞれが出会い引き取った者がいた可能性は否めない。

 あのとき、もしかするとベリルとジーン、フォージュリは出会えていたかもしれない。むしろ、どうして出会わなかったのか疑問にさえ感じられる。

 神は、彼らが出会うことを良しとしなかったという事なのだろうか──