「あいつを助けたって意味ないよ」

 ジーンはハンドガンを仕舞うと溜息を吐き出す。

「正常に戻る兆しがないから、失敗作とみなされたんだよ?」

 何も言えずジーンから視線を外した。

「いくら父さんでも、精神障害についてはそれほど詳しくはないよね。僕だってそうだけど、チームの専門家が僕以外はみんな失敗だと言っていたんだ」

 どんなにあいつを助けたって、あいつは最終的に誰かを傷つけないと気が済まない。傷つける対象は誰だって構わない。だから、そんな世界にいる。

 そんな世界にしか、いられない──

「それを、父さんはどうやって抑え込むつもりなのさ」

 僕は、父さんの意志を尊重してる。だけど、あいつはおかまいなしに破壊してまわる。破壊衝動を抑えられないんだ。

 そもそも、フォージュリは衝動を抑えるつもりがない。