フォージュリの標的がベリルではなく、ジーンに移った。失敗作という言葉で、ジーンが何者なのかを直ぐに悟ったのだ。

「よせ」

 いまにも殺し合いを始める体勢の二人の間に割って入る。

「落ち着け。何もしない」

「うるさい」

「無駄だって。こいつは精神が破綻してる」

「俺は正常だ」

 声を荒げるフォージュリにジーンは指を差して鼻で笑った。

「それがかい? あんたは失敗作。僕は成功作。解るだろ」

「なんだと──?」

 それを聞いたフォージュリは小刻みに体を震わせた。それが、怒りによるものなのかは解らない。

「どういう、意味だ」

 だらりと腕を垂らし、ジーンを凝視する。フォージュリにとっても初めて聞かされる事実なのか、動揺から激しく目が泳いでいた。

「僕は、成功した唯一のクローンだよ。そして、君は失敗作」

「そんな馬鹿なことがあるか」