「どうした」

 ジーンは部屋の中を見回し、ベリルに目を移すと少年のような笑顔を見せる。

「父さんの隣で寝ていい?」

 ベリルはしばらく無言でジーンを見つめたあと、小さく溜息を吐き出し懐く犬のようだと思いつつ室内に促す。

「ありがと」

 足早に部屋に入ると、すぐにベッドに横たわった。そうして、持っていたハンドガンをナイトテーブルに乗せ、早く寝ようとベリルに目配せをする。

「おやすみなさい」

「おやすみ」

 しばらくしてジーンの寝息を耳にし、ベリルも目を閉じた。


 ──朝

 三度(みたび)、姿を現したフォージュリはベリルの隣にいる知らない男を睨み付ける。

「なんだよお前」

「失敗作が何してんの」

「なんだと?」

 ジーンの言葉に、一瞬だがフォージュリの目は大きく見開かれ、あとには激しい憎しみの感情が体中からあふれ出る。