──ベリルは完成した料理をダイニングテーブルに並べた。
チキングリルとライス、サラダがワンプレートで見栄え良く乗せられ、バケットとバターが添えられている。
「ねえ。知ってる?」
ジーンは料理を口に運びつつ、ベリルに挑戦的な目を向けた。
「父さんから作られたクローン。全て男性なんだって。しかも、みんな生殖能力が欠如してる」
その行為を楽しむ事は可能であるが、子孫を残す能力は無い。
「女性は一人も生まれなかったらしいよ。面白いよね」
コンソメスープにスプーンを沈めてジーンはひと口すすった。何も言わないベリルに目を向けて薄く笑う。
「もう少し未来には、性別を操作することが出来るかもしれないけど。それでも──」
それでも、父さんの細胞から女性を造ることは出来ないかもしれないね。
(作中において現段階では遺伝子の解読は終了したが、その操作やゲノム編集の研究は未だ手つかずの状態)