「必要ない」

「へ?」

「お前の助けは必要ない」

 繰り返し、はっきり聞こえた言葉にジーンは数秒ほどベリルを見つめて黙り込んだ。──が、薄く笑って静かに立ち上がり顔を近づける。

「あなたに選択権は無いよ」

 ベリルの瞳から垣間見えた若干の驚きに目を細め、さらに顔を近づける。

「僕に、生きる意味を与えてくれよ」

 狂気じみた瞳がベリルを捉え、冷たい海の色が深淵に引きずり込もうとしている。

 このままではいずれ、現れたフォージュリとジーンが闘うことになる。クローン同士が殺し合う。

 ベリルは、自分が不死であることを伝えるべきか考えあぐねた。このまま、隠し通すことは出来ないだろう。