ジーンの言葉からは、相手に対する情が何一つ感じられなかったのだ。造られた情も、育ててくれた情も、憎しみという感情すらも見あたらない。

「ただそこに物体があった」──ベリルには、そう聞こえた。

「何故、私を守ろうとする」

 その問いかけに今度はジーンが驚いた表情を浮かべる。

「言ったでしょ。あなたは僕の親なんだ。それに、仲間だ」

「仲間?」

「そうだよ。同じ、成功作というね」

 浮かべた笑顔は感情から生まれたものではないことが見て取れて、ベリルは強い懸念を抱いた。

 人間ならば、今は笑うときだろうと考えた結果の笑みだ。ジーンは、命というものに興味がない。

 切々と伝わる感覚はいっそう、ベリルの胸を締め付けた。ジーンは私とは相反する意志を持つ。共にいることは、いずれ互いを傷つける。