「ああ。うん」

 例え、知らされていなかった計画の人間たちでも、生き残りがいた事にベリルは少なからずも喜びがあった。

「敵には遭わなかったのか」

「遭ったけど、学者を盾にして逃げたから」

 しれっと答えたジーンに、ベリルはグラスを持つ手を震わせた。

「自分が助かるためだもの」

 ジーンは少し驚いた目を向けたベリルが意外に思えたのか、小首をかしげる。

「そうか」

 ベリルはそれだけ応えてジーンから視線を外した。

 それは間違いではない。助かるために、生物がする自然の事だとも言える。ベリルが驚いたのは、その部分ではなかった。